コミュニケーションの技術を知る
いろいろな技術を知ることは、コミュニケーション力向上の近道です。
コミュニケーションの「技術」はたくさんありますが、代表的なものとしては次のようなものがあります。
- ミラーリング
- ペーシング
- バックトラッキング
- キャリブレーション
- ストローク
一つずつ説明します。
ミラーリングとは
「ミラーリング」とは、鏡のように相手と同じ仕草や動作を行うこと
例えば相手が足を組んだら同じように足を組む、腕を組んだら腕を組む、同じようにうなずく、などです。
ただし、あまり同時に同じ動作を行うと不自然ですし「人の真似して!」と疑われてしまいます。
不自然でないように小さく行う、時間をおいてから行うなど、やりすぎないように注意が必要です。
ペーシングとは
「ペーシング」とは、話し方や声のトーン、感情の起伏などを相手に合わること
話の早い人と話すときは早口で、遅い人と話すときはゆっくりと話す、感情が高ぶってきたときにはこちらも感情を高くして話す、といったことを行います。
同調性を利用して、一旦ペーシングが出来れば逆にこちらからコントロールすることも出来るようになります。
たとえば早口の人とペーシングしたあと、こちらから意図的に口調のペースを下げることで、相手の口調もゆっくりにすることが出来ます。
バックトラッキングとは
「バックトラッキング」とは、「相手が言ったことを繰り返す」ということ
ただし単純に言葉を繰り返すだけでなく、次のような3つに分けられます。
- オウム返しのように、「言葉そのもの」を繰り返す
- 言葉を要約して、「内容」を繰り返す
- 相手の気持ちを確認するために、「感情」を繰り返す
例えば
[1の例]
Aさん:あの日は天気がすごく良くて!
Bさん:天気がすごく良かったんだね!
[2の例]
Aさん:色が白くて、ちょっと小さくて、目がかわいい子犬だったんですよ
Bさん:白くて小さい犬、かわいいよね!
[3の例]
Aさん:あの試合、あと少しのところで負けたんですよ。本当にあと少しだったのに!
Bさん:それは悔しかったですよね
相手は、自分が言ったことを繰り返されることで、話をしっかり聞いてくれている、と感じます。
キャリブレーションとは
「キャリブレーション」とは「言葉以外のサイン(表情や声)」から相手の本当の気持ちを理解すること
例えば、心配ごとがある人が「大丈夫です」という場合、表情が暗かったり声のトーンが低かったりします。
言葉では「大丈夫」でも、それ以外のサインは「大丈夫ではない」と言っています。
また思い出を話しているとき楽しそうに話していたり、誇らしげに話している場合、それはいい思い出について話しているときです。
相手が言葉で伝えていない本当の気持ちを受け止めてあげることで、信頼関係が生まれます。
ストロークとは
「ストローク」とは「アクション」に対する「リアクション」
ストロークには
- 「プラス・ストローク」
- 「マイナス・ストローク」
- 「ゼロ・ストローク」
の3種類があります。
プラス・ストロークは「すごいね、上手いね、綺麗だね」といった言葉や、「笑顔で頷く、真剣に聞く」といった、受け取って気持ちのいいリアクションです。
逆にマイナス・ストロークは「大したことない、下手、つまらない」といった言葉や、「興味なさそうな態度、怖い目つき」など、気分を害するようなリアクションです。
ゼロ・ストロークは人が最も恐れるといわれる「返事をしない、聞かない、何もしない」といった、コミュニケーションをとらない、相手の存在を認めない、というリアクションです。
ストロークには「同じ種類のストロークを集める」という特性があります。
プラスのストロークを発しているとプラスのストロークが集まり、マイナスのストロークを発しているとマイナスのストロークがさらに集まります。
笑顔の人には笑顔が集まりますし、ネガティブな会話が多い人には、ネガティブな出来事が集まります。
誰でも認めてほしい
実は、人は誰でも「プラスのストロークを求めて」います。
ですから、マイナスなストロークを発信している人も、逆相的にプラスのストロークを求めています。
例えば駄々をこねる子供は、その結果親に相手をしてもらうことを求めていますし、「大したことない」と返す人は「自分はもっとすごいんだ」と評価してもらうことを求めています。
こういった、相手からの「ストロークの意図」を、話をしっかり聞くことで読み取っていくことが重要です。
「マイナス・ストローク」から心を探り合うよりも、お互いにプラス・ストロークを発信することでプラスのスパイラルを作っていくことも大事です。
伝わりやすい表現のヒント
コミュニケーションを図るとき、聞き手側は不足している情報を補完しながら聞いています。
補完するためには、過去に五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)が経験したことを元に想像を働かせます。
コミュニケーションに使われる主なものは「視覚」「聴覚」「触覚」ですが、人によって想像する際に優位に使われる感覚が異なっています。
簡単な例を出すと、例えば「夏休み」を想像したとき
- 海や山の「景色」を想像した人
- 蝉の「声」や風鈴の「音」を想像した人
- 遊園地の「楽しさ」やプールの「冷たさ」を想像した人
一つの単語から想像することは人それぞれですが、
①を想像した人は「視覚」優先、②を想像した人は「聴覚」優先、③を想像した人は「触覚」優先といえます。
コミュニケーションの基本は「相手の立場に立ってみる」ことですから、あなたが発した言葉から何を想像するか知っておけば、より伝わりやすい言葉を選ぶことが出来ます。